【子育て・若者】切れ目ない支援を

admin By admin 2025 年 10 月 9 日

佐賀市を拠点に県内のひとり親を支援する団体がある。現在、高3の娘と中2の息子を一人で育てる同市の50代女性が、子育てに苦労した経験から約20年前に立ち上げたもので、支援世帯は年々増加し、現在は同市で約170世帯となっている。

市は子育て政策に力を入れており、4月に母子保健と児童福祉の機能を一体化した「こども家庭センター」を設置した。物価高対策の一環として児童の給食費無償化も実施し、さらに9月末には大学の奨学金返還支援を行うことも発表した。

しかし、この50代女性はこうした政策に対して「本気を感じない」と語る。給食費無償化は3学期のみの対象であり、奨学金支援も市内の企業に勤める正社員に限られているためだ。

今夏、娘が東京への進学を希望し大学進学のための貸し付けを市役所に相談したところ、要件を満たさず、「もう少し近場で進学を考えてみては」と言われたことが忘れられないという。

女性は「支援からこぼれる人が必ずいるし、一時的な支援では抜本的な解決にならない。家庭の状況に応じた子育て・教育・進学と切れ目ない支援が必要だ」と訴えている。

5月上旬、佐賀市内のビルに佐賀商工会議所や佐賀大学、地元企業の関係者が集い、地域課題を解決する若い人材を育成しようと、市など産学官民の連携組織「CREATIVE LINK SAGA」が発足した。

同組織は起業家や大学教授を講師に招き、無料講座を来年2月までに計約50回開催。対象は20~30代の学生や社会人で、ブランディングやAI活用技術などを学ぶ。

市内IT企業に勤める26歳の受講者、矢部紗雪さんは「同世代との交流を求めて参加した」と話し、講座を通じてビジネスにおけるリスク管理の重要性など新たな視点を得られたという。

市によると、転入者数から転出者数を差し引いた2021年の「社会増減」は217人の転出超過となった。年代別では20~24歳が180人、25~29歳が176人の転出超過で、この10年間は15~29歳を中心に若年層の転出が顕著だという。

市は若者の定着を促す政策として、開学予定の県立大学周辺の街づくり整備や西九州大学佐賀キャンパスの新学部設置支援などにも取り組んでいる。

矢部さんは「佐賀には何もないと思い込んで、同世代が福岡などに離れていく現状を悔しく思っている。自分の夢は佐賀に若い人の雇用をつくること」と語る。

また、行政の支援策も重要と考えており、「小中高の教育過程で佐賀には活躍できる場があると伝えてほしい」と願っている。

市民のニーズに応え、時代に即した未来図をいかに描くか。首長と市議には、県都・佐賀市を導く力が問われている。

(竹中謙輔が担当しました)
https://www.nishinippon.co.jp/item/1409635/

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